飛鳥くんはクールなんかじゃない
「花帆、渡くんと連絡取れる?」
「うーんと、ちょっと待ってね」
バッグの奥底にしまってしまったスマホを、ゴソゴソと探す。
ここに来て迷子になるとは思わなかったから、適当に入れちゃったんだよね、たしか。
「あった!」
手探りで探してようやくスマホを手に掴むと、すぐに飛鳥くんに電話をかけた。
『……花帆?』
「あっ、もしもし、飛鳥くん?」
飛鳥くんと電話が繋がったのは、3コール目。
『お前いまどこに……』
「ねぇねぇ、君たちっ」
事情を説明しようとした矢先、私と凛ちゃんの目の前に影が差した。