飛鳥くんはクールなんかじゃない
目の前に現れたのは、知らない男の人。すごく近距離で話しかけてくるものだから、驚いて思わず凛ちゃんの腕にしがみついた。
それは凛ちゃんも同じだったらしく、私の腕にも凛ちゃんの手が絡む。
「やだなぁ。そんなに怖がらなくても」
「もしかして高校生?オレたちと楽しいことしようよ」
グイグイ迫ってくるこの人たちは、大学生だろうか。男物の香水の匂いが、キツい。
同じチャラい人でも、掘田くんとはまるで違う。というか、比べちゃいけないと思った。
「結構です」
隣の凛ちゃんが、強気で彼らに言い返した。それに続けて私も「友達と来てるので」と言い加える。
「じゃあその友達も一緒に遊ぼうよ。君たち、高校生の割にエロい身体してるじゃん」
「君なんか、腰のラインがたまんないね」
こ、この人たち……私たちの言葉が通じないんだろうか。