飛鳥くんはクールなんかじゃない
上から下までジトッと見られて、気持ち悪くて鳥肌が立った。
どちらともなく、私も凛ちゃんもお互いの腕にぎゅうっと力がこもる。
咄嗟に頭に浮かんだのは、飛鳥くんの姿だった。
飛鳥くん……、助けて……っ。
遂に男の人たちの手が伸びてきて目を瞑った、そのとき。
「いっ、いててててて……ッ!!」
伸びてきたはずの手が私たちに触れることはなく、代わりに悲鳴に近い苦痛の声が聞こえた。……しかも、2人分の。
恐る恐る目を開けると、そこにいたのは。
「飛鳥くん」
「海くん……」