飛鳥くんはクールなんかじゃない
「ちょ、ちょっと2人とも……!」
見ていられなくて慌てて仲裁に入ろうとすると、その手を飛鳥くんが止める。
「飛鳥くん!」
「あいつらのことなんか放っとけ。どうせなんとかなる。お前はこっち」
「ちょ、待っ……」
有無も言わせぬまま私は飛鳥くんに手を引かれ、ズンズンとその場が遠のいていった。
り、凛ちゃんっ!
凛ちゃんが心配で戻りたくても、飛鳥くんの力が強くてどうすることもできない。
そのままグイグイと手を引かれて、気づくと、さっきまで人でごった返していた砂浜の中心部から、あっという間に端の岩陰のところまで連れてこられていた。