飛鳥くんはクールなんかじゃない
「それ羽織って」
「へ……?」
頭に何かがかぶさっている。
それを手に取ると、それは飛鳥くんがいまさっき脱いだパーカーだった。
「……なんで」
「いいから早く着とけよ、バカ」
今日は飛鳥くんにバカ呼ばわりされっぱなしだ。
あまりにも飛鳥くんの圧がすごいものだから、私はそのパーカーに腕を通した。
……あ、飛鳥くんのにおいがする。
「花帆」
「ん?」
「おいで」
袖を通したことに満足したらしい飛鳥くんは、柔らかい笑みで私に向かって腕を広げた。