飛鳥くんはクールなんかじゃない
プルプルと震えながら必死に頭を回転させている間にも、枕は簡単に剥ぎ取られてしまって。
「花帆」
あっという間に私の目の前には、整った顔の飛鳥くんがいた。
無表情なその顔からは、飛鳥くんがいまなにを思ってるかだなんてさっぱりわからなくて。
「なにしてんだよ、バカ」
「お、怒ってる……?」
「は?」
思わずそう口にすると、飛鳥くんは意味がわからないとでも言いたげに首を傾げた。
「バカ?」
「ば、バカって……」
「俺が怒ってるように見える?」
よく見ろ、とまで言われて、私は恐る恐るその表情を伺う。
「どう?」
そんなことを言われたって、飛鳥くん。あなた無表情すぎるよ。わかりにくいよ。