飛鳥くんはクールなんかじゃない



「……一華ちゃん?」



転んだときにどこか痛めたのかと心配で顔を覗き込むと、その表情を見て私の動きは止まった。




「どうしましょう……花帆ちゃん」


とっても、イヤな感じがした。




やけに心臓がバクバクして、私の手まで震えてきそう。




別にまだ何を言われたわけでもないのに。……なにも、ないはずなのに。


ただ一華ちゃんの顔が……。




「……私、渡くんのこと、好きかもです……」





────真っ赤に染まっている。ただ、それだけなのに。




< 126 / 271 >

この作品をシェア

pagetop