飛鳥くんはクールなんかじゃない

はたから見たら飛鳥くんのこれは、怒ってるようにしか見えないんだろうな。


でも。



「怒って、ない」

「ん。だから言ったろ。バカ花帆」



ずっと一緒に過ごしてきたから、その少しの違いが私にはわかる。……まぁ、とってもとってもわかりにくいけど。



「もう、そんなバカバカ言わないでよ」

「それは、お前が勝手に勘違いして俺を怖がってるからだろ？」

「うぅ、だって」



だって、飛鳥くんが今日学校で不機嫌になったからじゃん。それを必死にご機嫌にしようと思って、でもどうしたらいいのかわからなくて。



「……どうせ、俺のご機嫌取りしようとして思いつかなかったんだろ」

「えっ、なんで」

「ここ最近同じ行動パターンなの、自分で気付いてないわけ？」


少し呆れ口調な飛鳥くんは、そう言いながらも優しい顔をする。