飛鳥くんはクールなんかじゃない
え、嘘。私、同じことしてる?
あれでも確か、一昨日も飛鳥くんのご機嫌取りで悩んでたような……。
「ったく、本当バカ」
考え込む私の目の前で、飛鳥くんは今日何度目かわからない「バカ」を口にした。
「だから、そんなに何度も……」
「ひとつ良いこと教えてやる」
さすがにバカ呼ばわりされすぎてるから言い返そうとすると、それよりも先に飛鳥くんは私の手を引いて私を胸に閉じ込める。
「なっ、なに……?」
突然のことに驚いて、心臓がドキッと音を立てた。
べ、別に飛鳥くんにときめいたわけじゃないからね。びっくりしただけなんだから。
咄嗟にそんな誰にも聞かれてない言い訳が出てきてしまったのは、どうしてだかわからない。