飛鳥くんはクールなんかじゃない
「全然意味わかんない。早くこっち来いよ」
「いいってば!私はここが落ち着くの」
「いままでそこが定位置だったことねぇだろ」
「いまこの瞬間からここが私の定位置です」
「ったく。いい加減に……」
意味不明な頑固っぷりを発動した私に痺れを切らしたのか、飛鳥くんは遂にベッドの上に登ってきた。
グイッと腕を引っ張られ、あっという間に目の前には飛鳥くんの顔が。
「……ちっ、近い」
「……は?」
思わず大きく顔をそらすと、飛鳥くんは驚いたように目を見開いた。
「花帆?」
こんな至近距離で目を見ることができずにうつむく私に、飛鳥くんが顔を覗き込む。
「……もしかして、意識してんの?」
「……っ!」
核心をつくような飛鳥くんのその言葉に、びくりと肩が反応してしまった。