飛鳥くんはクールなんかじゃない
そんな反応しちゃったら図星なのバレバレじゃん……っ、私のバカ。
そう自分に悪態をついたところでもう遅い。
「花帆、こっち向いて」
「……っ」
「花帆」
柔らかな飛鳥くんの声に何度も名前を呼ばれて、顔を上げたいような上げたくないような、なんとも言えない気持ちになった。
観念してゆっくりと飛鳥くんに視線を合わせると、自分の心臓の音がドクンと音を立てる。
私を見る飛鳥くんのその目が、あまりにも優しくて……。
あぁ、ダメだ。勘違いしてしまいそうになる。
「花帆。俺にドキドキしてる?」
「……うん」
もういまさら頑固は貫けなくて、私は素直にコクリと頷いた。