飛鳥くんはクールなんかじゃない
ドキドキ、してる。飛鳥くんに。
「そ、そんなに見ないで……」
飛鳥くんに見られているだけで緊張しちゃって、自分が自分じゃないみたいだった。
「……反則だろ」
「へ……?」
「あーもう。このバカ」
掴まれた手が更にグイッと引っ張られて、視界が傾いた。
そしてあっという間に飛鳥くんの体温に包まれる。
「あっ、飛鳥くん……!?」
「ちょっと黙って」
あまりにも突然のことに頭が追いつかなくてジタバタするも、飛鳥くんの力が強くて全く振り払えない。
近いなんてレベルじゃない。こんなの、ドキドキしすぎて飛鳥くんに聞こえちゃうよ。