飛鳥くんはクールなんかじゃない
「こんな朝からどこ行くの?」
「ん?バイト」
こんな格好で見られたくないと思う反面、少しでもおしゃべりをしていたいと思う矛盾した自分がいる。
けれど、飛鳥くんの答えに、その矛盾した気持ちを優先したことを少し後悔した。
バイト……かぁ。
なんとなく落ち込んでしまう。
「なにあからさまにテンション下げてんだよ」
「へ!?そ、そんなこと……」
「バレバレだけど?」
さすが飛鳥くんとでも言うべきか。バレたくないことでも、飛鳥くんにはすぐにわかってしまうらしい。
必死に否定したくても敵うことなんてなく、飛鳥くんに「バーカ」と頭を小突かれた。