飛鳥くんはクールなんかじゃない
「飛鳥くんのバカ」
こんなことなら、オシャレなんてしなきゃよかった。家で待っていればよかった。
「……可愛いって思って欲しかっただけなのに」
「え?」
「もう知らない。1人で帰る」
飛鳥くんが怒るなら、私だって怒る。拗ねてやる。
知らない。飛鳥くんのバカ。大バカ。
「花帆。待てって」
「ついてこないで!」
飛鳥くんが私の腕を掴んできたけど、全力で振りほどいた。
飛鳥くんにこんな態度を取るのは生まれて初めてかもしれない。
私は生まれて、飛鳥くんに反抗したんだ。