飛鳥くんはクールなんかじゃない
「……くそ」
花帆が一成に笑っているのが気に入らないなんて、我ながらバカげてるのはわかってる。
でも、無理だ。小さい頃から、俺の中心は全部あいつなんだから。
1人で電車で来たことにも、正直あいつの危機感のなさに腹が立った。
ましてや1人で帰すなんてありえなくて店で待たせたけど、それでこんなことになるなんて。
「彼女のことになると、飛鳥は唯一表情を崩すね」
「……別に」
「それ、本人にも見せてあげればいいのに」
苦笑する一成は、花帆のことをどこまで知っているんだろう。
『……可愛いって思って欲しかっただけなのに』
……花帆は、一成のことをどう思っているんだろうか。