飛鳥くんはクールなんかじゃない
ホールの中を動き回っても気になるのは、昨日のこと。
昨日花帆が座っていたドア側の席がやけに目につく。
あの席から花帆は、誰を見ていたんだろう。
「そんなにあの席が気になるなら、いっそのことあの席移動させてあげようか?飛鳥の視界に入らないように」
「……っ」
オーダー内容を厨房に伝えに行こうとしたとき、同じく別テーブルでオーダーを受けたらしい一成がすれ違いざま俺にそう言った。
バレバレってことかよ。
「うざい、一成」
「知らない。佐藤さんバカな飛鳥が悪い」
ニコリと笑いかけるその笑顔にイラっとする。
一成といい海といい、花帆絡みでからかってくるのは本当にタチが悪い。