飛鳥くんはクールなんかじゃない
バイトが終わると、俺はすぐに花帆の家に行った。
インターホンを鳴らしてから、数秒。
「あら、飛鳥くん?どうしたの?」
「……理穂さん」
花帆にどんな顔して会えばいいか、だなんて柄にもなく考えたけれど、現れたのが理穂さんだったことに少し肩の力が抜ける。
「花帆いますか?」
「花帆?いるわよー。あっ、ちょうどよかった!私これから買い物に行きたくて。飛鳥くん、お留守番頼んでもいい?」
にっこりと笑う理穂さんの手には、もうバッグがある。ちょうど出かけるところだったんだろう。
別に珍しいことでもなく、俺は理穂さんを見送った。
「……さて、と」
問題は、ここから。