飛鳥くんはクールなんかじゃない



冷静を保とうとしてはいるけれど、内心はどうしたらいいかわからない。


こんなに長くいるのに、花帆を怒らせたことなんて初めてで、許してもらう方法さえ知らない。



2階に上がって、花帆の部屋の前に立つ。ノックを2回。


ドアが開くその直前まで、俺は何を言えばいいか考えていた。……けど。



「花帆?」

「……」


一向にドアが開く気配がない。ドア越しに名前を呼んだけれど、やっぱり返事はなかった。


いないのか?


そうは思ったけれど、理穂さんがいると言った手前、部屋にはいるはず。



て、ことは……。


残された選択肢にため息をこぼしながら、俺は覚悟を決めてドアを開けた。


< 187 / 271 >

この作品をシェア

pagetop