飛鳥くんはクールなんかじゃない
「……えっ、なん……っ、飛鳥くん?」
やっと状況を把握したんだろう。
ガバッと起き上がった花帆は反射的に後ずさりするけれど、ベッドの上じゃ限界がある。
「よく寝たな」
「ちょ、なんで……っ」
よほど驚かせてしまったのか、花帆の開いた口はふさがらない。
それがなんだかすごく可愛くて、俺はベッドに腰掛けた。
ギシッと音を立てて、沈み込む。花帆にいつでも触れられる距離。
「理穂さん、買い物だって」
我ながら、冷静にいまの状況を説明してることに尊敬を覚える。
花帆も焦ってるかもしれないけど、俺だって内心どうしたらいいかわからない。