飛鳥くんはクールなんかじゃない
「だからってなんで飛鳥くんが……」
「花帆に会いに来たから」
「っ……なに、それ」
ふいっと花帆が目をそらす。
心なしか耳が赤い気がするのは気のせいだろうか。
「あっ……、もしかして飛鳥くん、まだ怒ってる?それなら安心してっ、もうオシャレなんかしないから」
「……は?」
「もういいの。……いいんだ。それと、怒ってごめんね、飛鳥くん」
唐突に謝りだした花帆は、やっぱりこっちを見ない。
少しパニックになっているのか、その口調は少し早口だった。
なにが?なにが、もういいんだよ。
わけがわからなくて、花帆の手に自分の手を重ねる。少しビクッとしたその手に、指を絡めた。
「花帆」
「っ」
「花帆、こっち向けよ。ちゃんと俺の目見て言って。急にそんなこと言われてもわかんねぇよ」
もういいとか、そんなのいいわけない。お前のことになると、俺はどうしたらいいのかわからなくなる。