飛鳥くんはクールなんかじゃない
「花帆ーっ、いるー?飛鳥くーん!おーい」
明るすぎるお母さんの声に、出ていた涙がピタリと止まる。
……もしお母さんが帰ってこなかったら私、飛鳥くんに何を……。
そこまで考えて、口にするのはやめた。言ったら絶対、戻れなくなる。
「は、離して」
「……ん」
触れていた飛鳥くんの手が、そっと私の涙を拭った。
……っ、離してって言ったのに。そんな優しくしないでよ。
「お前は時間経ってから降りて来い。その顔じゃ理穂さんが心配する」
ポン、と私の頭を撫でた飛鳥くんは、そう言って部屋を出て行った。
必要以上に触れてくる飛鳥くんに、ドキドキが止まらない。