飛鳥くんはクールなんかじゃない
「な、なんでここに?」
「ん?職員室の帰り」
どこまで持っていくの?と聞いてくる菊川くんは、どうやらこれを運んでくれる気らしい。
正直とても助かる。
「ありがとう、菊川くん」
「どういたしまして」
菊川くん1人と会うのって、なんか変な感じだ。
いつも会うときは、飛鳥くんと掘田くんと3人でいるから。
「なんか、佐藤さんとこうして2人で並ぶのって、珍しいね」
それは菊川くんも同じ気持ちだったらしく、その言葉を口にした。
「いつもは飛鳥くんたちがいるから」
「そうだね。にしてもこの状況、飛鳥にバレたら怒られるだろうなぁ」
「え?」
クスクスと笑う彼だけど、私にはなんのことかさっぱり。