飛鳥くんはクールなんかじゃない
「……っ」
「……花帆?なんで」
そんなにすぐに出てくるとは思わなかったから、驚きで思わず息がつまる。
会っただけなのに心臓がドクドク音を立てて、心なしか顔まで熱い。
「……とりあえず、入って」
なにも言わない私を不思議な思ったのか、飛鳥くんは特になにも聞かず家に入れてくれた。
シン、と静かな家内。
「あ、亜子さん……は?」
あまりにも静かすぎて飛鳥くんに尋ねると、飛鳥くんはボソッと「出かけてる」とだけ口にした。
それだけなのに、心臓の音がどんどん加速する。
……って、ことはつまり……。
2人きり、だ。