飛鳥くんはクールなんかじゃない
「……飛鳥くんの部屋……が、いい」
勇気を出して本音を言うと、飛鳥くんから返事は返って来なかった。
ドク、ドク、心臓がうるさい。
「……」
な、なんでなにも言わないの……?
顔をあげたくても、なんだか怖くてあげられなくて、私も口を閉じる。
実際は数秒の世界だったのかもしれない。でも私にとっては、何十秒、何分にも感じられた。
「……来い」
「えっ……ちょ!」
飛鳥くんがやっと言葉にしたのは、たったそれだけだった。
急に手を引かれて、階段を登る。その手は熱くて、飛鳥くんもドキドキしてる……?なんて。