飛鳥くんはクールなんかじゃない
「拒めよ、ばか」
近づくときは何十秒にもゆっくりに感じたのに、離れるのは一瞬。
ポンと私の頭を撫でた飛鳥くんの手は、なんだかとっても弱々しい。
やだ、と思ってしまった。
その手が離れてほしくない。もっともっと触ってほしい。私を見てほしい。
こんなの、欲張りなのはわかってるけど。でも。
「好き」
大好きだよ、飛鳥くん。
思わず口にしてしまった言葉。
手を伸ばして、彼の胸の中に飛び込んだ。というか、しがみついた。
飛鳥くんがなにを考えてるかなんて全然わかんないけど。幼なじみですらいられなくなるかもしれないけど。
でも、それでも言いたいの。
「大好き……っ」