飛鳥くんはクールなんかじゃない
ゆっくりと離すと、飛鳥くんが私の顔を覗き込む。
「……やっ」
「こーら」
そんな至近距離で見られたくなくて手で顔を隠そうとすると、パシッと手首を掴まれた。
「そらすなよ」
「だって……」
「ちゃんと見せて。……見て、俺のこと」
飛鳥くんの真っ直ぐすぎる目が私を捉えていた。
一度見てしまったら最後、もうそらすことなんてできない。
「……いまの言葉、本当?」
飛鳥くんの言葉に、こくんと頷いた。
ついに言ってしまった。飛鳥くんへの気持ちを。
もうあと戻りなんてできない。そんなことはわかっているけれど、この心臓のドキドキは治ることを知らないかのように鳴り続けている。