飛鳥くんはクールなんかじゃない
「でっ、でも飛鳥くん、あのとき私のこと嫌いだったじゃん。怒ってたし……」
「あのとき?」
「バイト先に私が行っちゃったとき!」
せっかくオシャレして少しでも可愛く見られたかったのに、全否定されるし。それに勝手にバイト先に押しかけたから、飛鳥くん、完全に怒ってたじゃん。
私の話で思い出したのか、飛鳥くんは「あぁ」と言葉をこぼす。
あぁ、じゃないよ……。
「あれは、お前が無駄に可愛い格好して来るから……」
「へ……?」
「それに一成と仲良くなってるし」
口元を隠してそっぽを向く飛鳥くんは、もしかしてもしかしなくても……。
「ヤキモチ……?」
思わず口にしてしまって、ハッと私も口を隠す。
「……はぁ?んなわけないだろ」
けれどやっぱり聞こえてしまったらしく、飛鳥くんはなぜかムキになって強く言い返してきた。