飛鳥くんはクールなんかじゃない
一華ちゃんがやってきたと同時に、菊川くんはどこかへと行ってしまった。
この場にピタリと足を止めた相変わらず可愛い一華ちゃんのその姿に、ドキドキと心臓が脈打つ。
飛鳥くんを好きだと私に教えてくれた一華ちゃん。
なのに私は、一華ちゃんに告白することがないままずるずると引きずってきてしまった。
言わなきゃ言わなきゃと思ってたくせに、会う機会がないことを理由に言わなくて、いまはそれを後悔してる。なんて都合がいいんだろう。
「久しぶりですね〜。お元気でしたか?」
「う、うん。一華ちゃんは?」
「私は絶賛試験勉強中で……。とっても元気ですけど、ちょっと疲れました」
えへ、と笑って席に座る一華ちゃんは、本当にいい子だ。忙しいのに来てくれたなんて。
「あ、それに」と嬉しそうに笑う一華ちゃんに、心臓がドクンと音を立てる。
まだなにも言っていなくても、その表情で誰の話をするのかが想像できた。