飛鳥くんはクールなんかじゃない
「私も好きですよ、渡くん」
「っ……」
「でも、花帆ちゃんも好きです」
「いっくんのそのクッキー、もらっていいですか?」と一華ちゃんはうさぎ型クッキーをパクリと口にする。
わ、わからない……。
悲しむ表情を一切しない一華ちゃんに、私の頭はプチ混乱状態だ。
「こら、一華。佐藤さん困らせるなよ」
「あ、いっくん。やっぱりいっくんのクッキーは美味しいね」
「いや、いまその話してないから」
ふらりとこの場に戻ってきた菊川くんが、口を挟む。
それに対しても彼女はふにゃりと笑って、菊川くんは呆れ顔だ。