飛鳥くんはクールなんかじゃない
「だから言ったでしょ、佐藤さん。気にしなくていいって」
なんども言われた菊川くんのその言葉。その真意は一体どういうことなんだろうか。
「花帆ちゃん」
クッキーを食べ終わったらしい一華ちゃんが、真っ直ぐに私の目を見つめる。
「私、すっごいミーハーなんです」
「……へ?」
そして、彼女は今日一番の笑顔を向けた。
ミー……ハー?
「それって……」
「惚れっぽいってことですかね」
えへへと笑う一華ちゃんのことがいまわかった気がする。この子、ちょっと天然だ。
「女子校にいるせいか、かっこいい男の子に助けられたりとかしちゃうとすぐに好きになっちゃうというか……。だから、変な心配しないでください」