飛鳥くんはクールなんかじゃない



花帆ちゃんが好きな相手ならもう好きじゃありません……と。


あっさり。とてもあっさり、一華ちゃんは「好きじゃない」宣言をしてのけたのだった。



「で!渡くんとはもうお付き合いしてるんですか?」


話の切り替えが早い一華ちゃんは、キラキラした表情で私を見つめる。恋バナ大好きと顔に書いてあるのが見えそう……。



「それはちょっと僕も気になる」


仕事中なはずなのに、菊川くんまでもが聞き耳を立ててきた。


いいことなのが悪いことなのか、お店はさっきよりも空いてきている。


やっぱり双子だなぁとしみじみ思いながら、私は首を横に振った。




「「えっ?」」


ほら、反応まで一緒。驚いた顔も似てる。



「なんでですか!?」


テーブル越しなのに食い気味で詰め寄る一華ちゃん。さっきまで飛鳥くんを好きだと言っていた人とはまるで思えなくて、若干顔が引きつった。


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