飛鳥くんはクールなんかじゃない
「……もういいんだよね?」
「へ?」
「花帆の言ってた大事な用事、ってやつ」
飛鳥くんの言うその用事は、一華ちゃんのこと。
こくりと頷くと、飛鳥くんはニヤリと笑って私の腕を引っ張った。
─────ドサッ。
傾いた視界。飛鳥くん越しに、天井が見える。
「ちょ、飛鳥くん……?」
「……なら、花帆はもう俺の彼女ってことでいい?」
甘い飛鳥くんの声。
「ず、ずるい……っ、そんな言い方……」
「ん?違うの?」
口角をあげる飛鳥くんは、もう完全に私で楽しんでいるのが丸わかりだった。
わ、私はこんなにドキドキしてるのに……っ。
飛鳥くんの目に映る私の顔は、きっと真っ赤に違いない。