飛鳥くんはクールなんかじゃない



真っ赤であろう私の顔を見た飛鳥くんは、目を細めてくすりと笑う。


まるで、愛おしいものを見つめるかのように。



「花帆。俺のご機嫌とって」

「え?」

「ハグ以上のご機嫌とり」


そう言う飛鳥くんは、もう絶対不機嫌なんかじゃない。むしろ機嫌がいいほうだとさえ思う。



「ほら、早く」


なのに急かしてくる飛鳥くんは、もう意地悪以外のなにものでもなかった。



は、ハグ以上って……。


ひとつだけ思いつくのはある。けど、それを私がするの……?



恥ずかしすぎて、もうどうしたらいいのかわからない。


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