飛鳥くんはクールなんかじゃない
「あれって……」
「あ、おいっ」
焦る飛鳥くんの手をすり抜け、その写真たてを手に取る。
そこに写っていた写真を見て思わず「あっ」と声を漏らした。
「こら」
数秒も経たないうちに飛鳥くんに取り上げられるけれど、しっかりバッチリ見てしまった。
それは、小さな男の子と女の子が楽しそうに笑っている写真。……小学校低学年のときの、私と飛鳥くんだ。
「そんな懐かしい写真、よく持ってたね」
「……うるさい」
あ、照れている。そしてちょっとだけふてくされている。
それがなんだか可愛くて、ふふっと笑みがこぼれた。それと同時に、嬉しくてしかたがない。
そんな小さな頃の私との写真を、大事にとっておいてくれたなんて。