飛鳥くんはクールなんかじゃない
「堀田くん。凛ちゃんを泣かせたら許さないからね」
何はともあれ、私にとっては凛ちゃんが幸せならそれでいい。
ビシッと堀田くんに言ってやると、本人は「もちろん」と凛ちゃんの肩を抱き寄せた。その行動に凛ちゃんがさらに照れたことは言うまでもない。
「にしても、飛鳥の方はだいぶかかったよな〜」
「え?」
「ん?佐藤ちゃんとの駆け引き」
「もう何年かけてんだか」と苦笑する堀田くんに、同じこの場にいた菊川くんも「全くだ」と頷く。
ちなみに、いまこの場にいないのは飛鳥くんだけ。
今日は始業式とLHRだけで終了したのをいいことに、これからみんなで菊caféに行く約束をしていた。
いまは玄関で、日直の飛鳥くんが来るのを4人で待っている。
それにしても。
「か、駆け引きって……」
そんなこと言われても、どう反応していいかわからない。
そんな私の様子を見て、菊川くんが「本当に気づいてなかったんだ?」とおかしそうに笑った。