飛鳥くんはクールなんかじゃない
不機嫌そうな声の飛鳥くんに、堀田くんはおどけて笑う。
「おつかれさま、飛鳥くん」
「ん」
振り返って飛鳥くんにそう言うと、声とは裏腹に柔らかい表情を浮かべてくれた。
「……付き合う前より空気が甘いんだけど」
「まぁまぁ海くん。2人はもう恋人同士なんだから」
会話の内容は聞こえなかったけど、凛ちゃんが堀田くんをなだめているのが視界に入った。
2人が恋人らしく見えることになんだか頬が緩む。
「ねぇ、やっぱりそうだよ」
「うそ〜……。ホントに?」
そんなとき、どこからかコソコソと話す女の子たちの声が聞こえてきた。しかも、数人。
さすがというかなんというか、飛鳥くんたち3人の人気はやっぱり健在で、3人全員が集まるそこが女の子たちの注目のマトになってしまうのは必然らしい。