飛鳥くんはクールなんかじゃない
電車を降りて、すぐ。
「あっ」
やっと改札から抜けたところで、私は不意に目に入った掲示板に足を止めた。
「ん?」
そんな私に飛鳥くんも足を止めてくれて、一緒にその掲示板に貼られたポスターを見る。
【夏の最後の思い出に!第13回大花火大会】
大きな花火の写真を背景に、でかでかと書かれたその文字。
「今年もそんな時期か」
一緒にそれを読んだ飛鳥くんが、ポツリとそう呟いた。
私たちが3歳くらいの頃から始まった、年に1度の花火大会。
会場は家から歩いて30分くらいの距離にある大きな河川敷で、毎年遠くからも色んな人が見にやってくるほどの大規模なものだ。