飛鳥くんはクールなんかじゃない



電車を降りて、すぐ。


「あっ」


やっと改札から抜けたところで、私は不意に目に入った掲示板に足を止めた。




「ん?」


そんな私に飛鳥くんも足を止めてくれて、一緒にその掲示板に貼られたポスターを見る。



【夏の最後の思い出に!第13回大花火大会】


大きな花火の写真を背景に、でかでかと書かれたその文字。



「今年もそんな時期か」


一緒にそれを読んだ飛鳥くんが、ポツリとそう呟いた。


私たちが3歳くらいの頃から始まった、年に1度の花火大会。


会場は家から歩いて30分くらいの距離にある大きな河川敷で、毎年遠くからも色んな人が見にやってくるほどの大規模なものだ。


< 245 / 271 >

この作品をシェア

pagetop