飛鳥くんはクールなんかじゃない
目の前に映る花帆の目が見開かれ、思わず満足げな笑みが浮かぶ。
可愛くてたまらない。
それを告げたらきっと、また花帆は怒ったように頬を膨らませるんだろうな。
「な、な……っ」
「照れたらキス1回って、どう?」
「どうって、なに……」
怒っているのかと思いきや、花帆はやっぱり照れた様子で俺の目を見ようとしない。
こんな初々しい彼女を自分だけが知っているのかと思うと、満たされる。
自分のしょうもない独占欲のために、これまでずっと花帆を守ってきた。
こんな形でその努力を褒めたいと思う日が来るなんて、俺のこの欲の強さはどうかしてるのかもしれない。
けど、こいつだけは誰にも渡したくないんだ。絶対に。