飛鳥くんはクールなんかじゃない
我ながら狂ってるとも思うけど。
「恋人の意味わかってる?いままでみたいな "幼なじみの距離" とは違うんだからな」
「そんなの」
わかってるよ、と小さい声で花帆はつぶやいた。
無理強いしてるわけじゃない。
けど、何年続けてきたであろう片想いがやっと実ったいま、正直なところ触れないなんて選択肢、俺にはない。
……それに。
「花帆、また照れてるだろ」
「……っ、うん」
「っ、は」
真っ赤な顔して煽ってくるこの小悪魔に、理性が勝つなんてそんなことできるわけがない。
意地の悪いことなんて聞いてみるもんじゃない。
自分がやられてどうする。
まんまと花帆にしてやられて、俺はまた彼女の唇に自分のを重ねた。