飛鳥くんはクールなんかじゃない

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「ねぇ、聞いた？渡くんと佐藤さん、この前の花火大会で一緒に手繋いで歩いてたんだってー！」

「聞いた聞いた！堀田くんと華原さんもでしょ？それってやっぱそういうことなんだよね？えー、ショック〜……」



あの花火大会の日以来、いつにも増して周りがうるさく感じるようになった。



「言われてるな」


隣にいた一成が、わずらわしそうにつぶやく。



「なにが」

「なにがって……。飛鳥と海に彼女ができたって話だよ」

「……くだらない」


一成に言われて騒がれている理由がわかったけれど、だからなんだっていうんだ。


花帆以外の女に興味なんてない。そもそも、なんでそんなに騒ぐのかがわからない。



「ほんっと、飛鳥は佐藤さんのことしか頭にないんだな」

「……」


苦笑しながらの一成のその言葉には、当たり前すぎて返事をしなかった。