飛鳥くんはクールなんかじゃない


こんな展開になると、毎回思う。



どんなに状況になろうとも、あいつを超える女なんているわけがない。


俺にはもうずっと、花帆だけ。



「……?」


不意に、ドアの向こうから気配を感じた。


ドアを開けて外に出ると、ビクッと震えた小さな背中。



「なにしてんの」

「えっ、あ……えへへ」


そっと声をかけてみると、その背中……花帆が、丸い瞳に俺を写して困ったように笑った。


手にはよくわからないダンボールに、なにやら小物が入っている。


……ここに用があったのか。

あまりよくない展開に、思わず顔をしかめた。



聞いてた、よな。確実に。


少し動揺して揺れる彼女の瞳が、それを物語っている。


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