飛鳥くんはクールなんかじゃない
飛鳥くんとの当たり前
学校がある日の私の朝は、だいたいは自分で起きて、だいたいは1人で通学してる。
けど、主に年3回。そのサイクルがうまくいかないときがあって。
「花帆。かーほ」
「……んん」
いまは、ちょうどそのとき。どうも眠くて眠くて、全く起きる気になれないのだ。
「花帆。ほら起きろ。遅刻するぞ」
ぼやけた視界の先に、触ったら柔らかそうな黒髪が見えた。
「……ん、おはよ」
「っ、こら。寝ぼけんなって」
どうしてもそれを触りたくて、撫でたくて。眠いながらに自分の手を伸ばしてその髪を撫でる。
それだけなのに何故だか無性に心が安らいで、幸せな気持ちになった。