飛鳥くんはクールなんかじゃない
「このバカ。早く起きろ」
なんだか不機嫌な声が聞こえたかと思えば、伸ばしていた手首を掴まれたような感覚。
「あ……、あすかくん」
「起きたか?」
ふわふわしていた脳内が少しずつ現実を取り戻して、いまの状況がやっと理解できた。
私はベッドの上。目の前には飛鳥くん。そして私の手首は、何故か飛鳥くんに掴まれいて身動きが取れない状態だった。
「……なにこれ」
「2分前の自分に聞けば?」
「ちょっ、なんでそうなるのよ。ていうか飛鳥くん、また勝手に……っ!」
いやでもやってきてしまう、私が起きれない日……というか、期間。
この期間になると、決まって私の部屋まで飛鳥くんが起こしにやってくるようになる。