飛鳥くんはクールなんかじゃない
そんな有名な彼らに、どうして私は毎回話しかけられるのか。
それは、この目の前の人物が原因に他ならない。
「飛鳥くん。まだ手、離してくれない?」
優しくお願いするように声をかけると、彼はやっとのことで私の手首を離してくれる。
「今日、花帆の部屋行くから」
「……もう。わかったよ」
これまたお決まりのセリフを吐くと、飛鳥くんはあっさりとこの教室から出て行ってしまった。
私と飛鳥くんは、幼なじみ。
幼稚園のときに引っ越してきた家のお隣が、飛鳥くんの家で。
親同士が意気投合したこともあって、私と飛鳥くんは兄妹のように一緒に育ってきた。
高校生になったいまでも、その関係性は変わらない。