飛鳥くんはクールなんかじゃない
やっと呼べたと思ったら、また飛鳥くんが私の体を抱き寄せた。
「花帆だけでいいから」
「え?」
「俺の名前を呼ぶのは、花帆だけでいい。だから花帆も、俺以外の男に名前を呼ばせんな」
こんな感じの約束は、いままでもいくつもしてきた。
それなのに、どうしてだろう。
「うん、もちろんだよ」
やけに飛鳥くんの言葉が耳に残って、こだました。ふわふわしてるような、そんな感覚。
大丈夫だよ、飛鳥くん。私は飛鳥くんが1番だから。
そう思うこの気持ちも、なんだかいつもよりも強い気がした。
私の飛鳥くんへの気持ちが少しずつ変わっていくような、そんな気が。