飛鳥くんはクールなんかじゃない
「花帆、いいの?渡くんモテモテみたいだけど」
「え、なにが?」
「なにがって……。取られちゃうよ?渡くん」
凛ちゃんはいたって真剣に話してるようだけれど、私の頭はハテナマーク。
「取られるもなにも、飛鳥くんは私のじゃないもん」
「そうだけどさぁ」
「どうしたの?凛ちゃん」
だって、飛鳥くんは飛鳥くんだ。
幼なじみだろうと、私の中で1番だろうと、飛鳥くんは誰のものでもない。
そう言おうとしたら、呆れ顔な凛ちゃんは「じゃあ聞くけど」とまた口を開いた。
「もし渡くんに彼女ができたら、花帆どうする?」
「どうするって……」
そんなの、考えたことがなかった。
いままで飛鳥くんが彼女を作ったことなんて一度もなかったし。