飛鳥くんはクールなんかじゃない



「なんだよ」



あぁ、もう。ただの幼なじみなのに、なんで私、こんなことが気になるんだろう。


飛鳥くん、そんなに怖い顔しないで。約束、破ってごめんね。




うまく言いたいことを言えなくて、私は思い切って飛鳥くんの胸に飛び込んだ。



「花帆……?」

「……ご機嫌、なおして」

「……ッ、は?」



困惑する飛鳥くんの声が聞こえる中、私は彼の背中に手を回し、ギュッと力を込める。


震えそうになる手を、必死に抑えた。




「ごめんね、約束破って。……でも、どうしても今日飛鳥くんに確かめたいことがあって」

「……確かめたいこと?」



顔が見えないのをいいことに、少しずつ頭で整理した言葉たちを口に出していく。



< 87 / 271 >

この作品をシェア

pagetop