飛鳥くんはクールなんかじゃない



「放課後、飛鳥くんが女の子から告白されてるの見て……。もし飛鳥くんに彼女ができたらって考えたら、なんかモヤモヤしちゃって……っ。そしたら、駅で飛鳥くんが掘田くんたちと混ざって一華ちゃんといるところ見ちゃって……」



それで、それで……。


支離滅裂な説明。こんなの飛鳥くん意味わからないよね。



「それで……っ」

「花帆」



私だけが飛鳥くんの背中に手を回していた。


けれど次の瞬間、私の背中にも飛鳥くんの手が回ってきたんだ。




「……モヤモヤしたの?俺に彼女ができたらって?」

「う、うん……」

「ずっと、俺のこと考えてたんだ?」



飛鳥くんの腕が、ギュッと私の体を包み込む。


……なんだろう。モヤモヤしてたものが、嘘みたいに和らいでいくのがわかった。



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