飛鳥くんはクールなんかじゃない
「あちゃ〜。また渡くんか」
「もう。こっちは深刻なんだからね?」
「あはっ、ごめんごめん。渡くんも相変わらずだなーと思って」
そうは言いながらも、「はい」と自分のお弁当の半分を差し出してくれる凛ちゃんは、本当に優しい。
「にしても渡くん、やっぱり花帆にだけは態度違うよね」
「そりゃあ、幼なじみだもん」
「んー……。あたしはそれだけじゃないと思うけどなぁ」
何か考え込むようにしながら、凛ちゃんはプチトマトをパクリ。
飛鳥くんは幼なじみ。それ以上でもそれ以下でもない。そう何度も言ってるはずなのに、凛ちゃんは納得しようとはしないんだ。
「だいたいね?渡くんって本当にクールなんだよ?女子とはほとんど口聞かないし、女嫌いって噂もあるくらい」
「えぇ〜、飛鳥くんが?」
女嫌い……って。そんなことあるんだろうか。