飛鳥くんはクールなんかじゃない
と、なにやら廊下が騒がしいことに気がついた。
女の子たちの黄色い声。それがどんどん近付いて来て、なんだか嫌な予感がした。
「り、凛ちゃん……」
「うん、来るね」
女の子たちが騒ぎ始めるなんて、もう基本的に理由は1つしかない。
凛ちゃんも察しがついてるようで、2人で教室の扉を見つめた。彼らが……、来る。
ガラッと扉が開いた瞬間、教室内までもが騒がしくなった。
「あっ、いたいた〜」
そして一番最初に入ってきたのは、相変わらずのミルクティーヘア。
「佐藤ちゃーん。凛ちゃーん」
そしてその人物は、周りのこともおかまいなしに私と凛ちゃんの名前を呼んだのだ。